中川 正彦
※このコラムでは、来年の美作国建国1300年にむけて、地域の歴史上のさまざまな出来事を紹介していきます。

第3回 湯郷 その2「丑湯考」

夏の土用の「うし」の日に湯郷の温泉に入ると、邪気をはらい健康に過ごせるといわれ、毎年盛大に「丑湯まつり」が行われてきています。

文政9年(1826)、海内の大庄屋(田中家)は、「うし湯が近くなり取り締まりをするように」との通達を出し、 福本村の村々に回状を出し村役人が取り締まっています。
土用の丑の日が近くなると、近郷からの入湯客で宿は大変な賑わいになるが、なかにはケンカ、口論などよからぬ事が起き、 治安のために回状を出し取り締まるほどの盛況ぶりであったといいます。(英田・田中家文書より)

元和3年(1617)には湯郷全体が大洪水にみまわれ、源泉が埋もれますが、津山市(旧勝北町)市場から、 赤褐色の牛(朝鮮牛)に湯樽を載せ運んだこともありました。

丑湯の起こりは、はっきりしていませんが、貞観2年(860)に円仁法師によって薬湯(温泉)が発見された頃から 丑の日に入湯する習慣があったのではないかとも言われています。

土用の丑の日には、ショウブ、ドクダミ、ヨモギ等の薬草を湯に入れて入浴すると暑気払いの健康法になるとされていました。 一般に岡山県北地方は温泉に恵まれ、この風習がよく残っていますが、県南地方でも土用の丑の日に自宅で入浴しても、 「うし湯」という習わしがありました。(岡山県百科事典より)

「作陽誌」には五月丑の日に入浴すれば其効著しとて群集すとあります。

美作や備中北部では、端午の節句から一日遅れて5月6日を牛の菖蒲といい、牛のマヤに菖蒲を葺いたり牛を入浴させ、 菖蒲で体を洗ったりして仕事をさせず休ます習わしがありました。(岡山県史より)
牛は農耕に欠かせないものであり、農家は家族同様に大事にしてきました。

今年は7月27日が土用の丑の日(己丑)になります。菖蒲、ヨモギ、ドクダミなどの薬草を湯槽に浮かべ、 我が家の丑湯に入り元気で夏を乗り切りたいものです。
(今年の湯郷丑湯祭りは7月21日(土)です)


※前号の問題の解答
エドウィン・ライシャワー(1961年3月から1966年8月まで米国駐日大使)
円仁法師の「入唐求法巡礼行記」を研究、翻訳し1939年博士号を取得。
※さて、では今回の問題。
その「入唐求法巡礼行記」は円仁法師の遣唐使留学中の記録ですが、ユニークな筆致をしています。
どんな筆致でしょう。(解答は次回掲載時に)
美作国の1300年をたどる
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