山口聡一郎展 – Climate –/奈義町現代美術館

※終了しました

リアルなまなざしの共有
奈義町現代美術館では、6月10日(日)までの会期で岡山市在住の写真家、山口聡一郎さんの作品展「山口聡一郎展-Climate-」が開催されています。
山口さんは昭和34年(1959)、佐賀県生まれ。フリーランス・フォトグラファーとして活躍していて、2002年から岡山市にお住まいです。 今回の作品は奈義町内各所の風景の写真ですが、縦方向を短くトリミングしたモノクロ(白黒)の画面が特徴的で、普段見慣れた景色とは違った印象を与えています。
また、作品の多くが自動車の中から撮影されていて、その一風変わった視点は写真としても少し見慣れない感じがします。

山口さんに作品について伺ってみました。

~なぜ自動車の中から撮影なさってるんですか


生活や移動の過程の中で風景を撮りたいと思っています。 都市だとそれは歩いたり電車に乗ったりしている時間になりますが、 たとえば奈義では自動車で移動している時間の方がみなさんにとってリアルな生活や移動の時間・経験だと思います。 この地で多くの人とそういうリアルなまなざしを共有しようとするなら、自動車の中から撮るのが当たり前になってくるんです。


~たしかに言われてみるとそのとおりですね。
もうひとつお尋ねしますが、今回の展示はモノクロ写真ばかりですが、モノクロには何かこだわりがあるんですか


モノクロが好き、ということもありますが...できるだけ多くのカットを見てもらったり残したりしたいのですが、 カラーだとどうしても色という要素が邪魔になってしまって、色がなければ作品になると思うときがあります。 そういうときに、色という要素を除いても、見てもらいたいものが残る作品であれば、モノクロで発表するようにしています。 色というのは時間や角度で変化するものですし、追求しすぎると、かえって嘘っぽく感じることもあります。 色という要素をはずすことで、よりリアルに感じられることもあると考えています。 もちろん、色を常に排除しているわけではなく、色という要素が加わることによって作品になると思うときには、カラーで発表しています。



まなざしのリアルさと、内容や形のリアルさ、その両方のリアルさを追求した結果として、私たちの生活や経験に一番近い景色を見ているはずなのに、 それをむしろ見慣れない景色と感じてしまう。そんな不思議さを感じられる展覧会です。
また、5月20日(日)には、参加者一人一人が10枚ずつ写真を持ち寄り、みんなで見て・語るワークショップが開催され、 参加者は各々自分の写真について説明し、また他の参加者の写真の感想などを語り合っていました。

 

奈義町現代美術館ミュージアムショップでは、今回の展覧会で展示された、奈義町の風景を撮影した山口さんの写真集「Climate」を販売中。
定価2,300円(消費税込)、詳しくは同美術館 ☎0868-36-5881まで


このような形で地域の今のリアルな姿を記録したという点でも、非常に意義深い展覧会であると言えると思います。

美作人インタビューリンク